IT 導入補助金とは?

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この記事の目次

IT 導入補助金の目的

IT導入補助金(正式名称:サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金)は、中小企業・小規模事業者の労働生産性向上を目的として、デジタル化推進に向けた ITツール(ソフトウェアやサービスなど)の導入を支援する補助金です。申請を希望する中小企業・小規模事業者がIT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組み、共同で申請します。

近年、デジタル化推進が盛んに叫ばれていますが、国内企業のデジタル化はまだまだ発展途上。2021年に総務省が実施した調査で「デジタル・トランスフォーメーションの取組状況」を尋ねたところ、中小企業の約7割が「実施していない」「今後も予定なし」と回答しており、危機感の薄い経営者が多い実態がうかがえます。

しかし、人手不足、物価高騰、グローバル化、生産性向上といった多様な経営課題に対応し、競争力を維持・向上させていく上で、デジタル化推進は避けて通れません。中小企業・小規模事業者はIT導入補助金を有効活用して、経営課題の改善に資するITツールを導入し、自社のデジタル化を前進させましょう。

IT 導入補助金の補助対象者

IT導入補助金に申請できるのは、日本国内で事業活動を営む中小企業・小規模事業者であり、法人はもちろん、個人事業主でも対象になります。中小企業は、飲食業、宿泊業、卸売業、小売業、運輸業、医療・介護・保育などのサービス業、製造業、建設業などの業種が対象となります。下表の通り、業種ごとに定められた資本金と従業員数によって、中小企業に該当するかどうかが判断されます。小規模事業者は従業員数のみで判断され、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)は「5名以下」、宿泊業・娯楽業・製造業は「20名以下」が基準となります。

中小企業

小規模事業者

IT 導入補助金の申請枠・補助率・補助額

IT導入補助金には、大きく分けて「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「インボイス枠」という3つの申請枠が設けられており、下表の通り、申請枠によって、申請要件、経費区分、補助率、補助上限額・下限額、補助対象経費、補助対象となるITツールなどが異なります。自社の経営課題と照らし合わせて、必要なITツールを慎重に見極め、その導入経費が補助される申請枠を選びましょう。

申請枠 補助率 補助額
通常枠 1/2以内 1プロセス以上:5万円以上150万円未満4プロセス以上:150万円以上450万円以下
セキュリティ対策推進枠 1/2以内 5万円以上100万円以下
インボイス枠(インボイス対応類型) 2/3~4/5 最大350万円以内
インボイス枠(電子取引類型) 1/2~2/3 最大350万円以内

IT 導入補助金の補助対象経費

IT導入補助金では、会計・受発注・決済、その他各種機能を有するソフトウェア、PC 、タブレット、プリンター、スキャナ、複合機、POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機などのハードウェア、機能拡張やデータ連携ツールの導入、セキュリティ対策、導入コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポートなど、様々なITツールが補助対象となります。

しかし、補助対象となるのは、IT導入支援事業者によって登録されているツールに限定されます。どのようなITツールが登録されているかは、IT導入補助金公式Webサイト上で検索可能です。同じITツールを複数のIT導入支援事業者が登録しているケースもあるため、その場合は、ITツールの機能だけではなく、IT導入支援事業者のサポート範囲や料金などを比較検討して選ぶようにしましょう。

IT 導入補助金の申請プロセス

IT導入補助金では、申請を希望する中小企業・小規模事業者がIT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組み、共同で申請することになります。そのため、まずは中小企業・小規模事業者が導入したいITツールとそれを提供するIT導入支援事業者を選定するところからスタートします。

ITツールとIT導入支援事業者が決定したら、以降はIT導入支援事業者のサポートを受けながら、連携して申請手続きを進めていきます。中小企業・小規模事業者とIT導入支援事業者とでは、行うべき手続きの内容が異なるため、「いつ、どちらが、何をするか」を確認しながら、一つひとつ対応していきましょう。事前準備から交付申請が完了するまでは、1ヵ月程度の期間を要するため、スケジュールに余裕を持って、計画的に進めていくことが重要です。

交付申請が完了し、交付決定が下りたら、いよいよ事業実施となります。IT導入補助金では、交付決定後、約6ヶ月程度の事業実施期間が設けられており、その期間内にすべての取組を実施し、支払いを済ませ、実績報告まで完了させなければなりません。そして、実績報告の審査をクリアしてようやく、補助金の請求・入金へと進みます。事業実施期間が長引いて実績報告の時期が遅くなれば、その分、補助金が振り込まれる時期も後ろ倒しになっていくため、交付決定後は早め早めの対応を心がけましょう。