IT導入補助金の事業実施効果報告

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事業実施効果報告とは

事業実施効果報告とは、申請枠ごとに定められた「生産性向上にかかわる数値目標」などの達成状況を補助金事務局に報告する手続きです。報告時期が近付いてくると、補助金事務局から事業者宛に「効果報告の開始予告」「効果報告の開始案内」と題された通知メールが送付されてきますので、しっかり確認して対応しましょう。

通知から一定期間報告がない場合には、「効果報告リマインド」が届きます。それ以降も、「IT導入支援事業者からの訂正依頼」「IT導入支援事業者からの確認完了」「補助事業者の提出完了」「補助事業者のステータス遷移一括」などのメールが順次届くようになっていますので、見落とすことがないよう注意してください。

なお、事業実施効果報告は定められた期限内に対応しなければなりません。面倒に感じて怠ってしまうと、交付された補助金の全額返還を求められることになります。また、期限内に事業実施効果報告を行ったとしても、交付規定や公募要領で定められた賃上げ目標などの要件を達成できていなければ、補助金の全額・一部返還を求められる場合があります。

事業実施効果報告の時期・回数

事業実施効果報告は、申請枠によって行う時期・回数・申請期間が異なります。申請枠ごとにその詳細を説明します。報告期間については、おおよそ3~4か月程度の報告期間が設けられています。最終日の17:00が締め切り時間なので報告がぎりぎりになる場合は注意しましょう。

申請枠 時期・回数
通常枠 開始初年である1年度目から、2年度、3年度と1年に1回を3年間、合計3回報告しなければなりません。1年度から3年度の報告の対象期間は、すべて同じ日程です。各年度の最初から最後(4月1日〜3月31日)です。事業が実施された効果の報告期間は対象期間の翌日4月1日~7月31日までに行います。
セキュリティ対策枠 開始の1年度目や翌年の2年度目については報告の必要はありません。3年度目に1回の報告が必要です。補助金申請から2年以上先に報告義務があるので忘れないようにしましょう。3年度の1年間が報告対象期間となっており、事業実施報告期間が翌日の4月1日~7月31日までです。
インボイス枠 (インボイス対応類型)** 継続活用状況と賃上げ実施状況の報告が必要です。継続活用の状況として、1年度目に1回の報告があります。賃上げ実施状況としては 1年度目、2年度目については報告の必要ありません。3年度目に1回報告しなければなりません。継続活用なら1年度目のITツールの導入後より事業実施効果報告対象期間です。10月1日〜31日までの1か月間が報告期間と短いので注意しましょう。また、賃上げ実施状況の場合は3年度の1年間で、翌4月1日~7月31日までが事業実施効果報告期間です。

補助金返還を求められるケース

前述の通り、無事に補助金の交付を受けられたとしても、事業実施効果報告を怠っていると、補助金返還を求められることになります。「1年度、2年度までは報告していたが、3年度目は忘れてしまった」というケースも例外ではありません。事業実施効果報告の手続きが完了していないわけですから、返還対象になってしまいます。

賃上げ目標達成状況の判定前や効果報告前に、目標値に達しないことがわかり、補助事業そのものを辞退した場合も、当然ながら補助金は全額返還となります。また、補助金申請の内容と実態が異なる疑義が生じた場合には、IT導入支援事業者を通じての確認が必要となります。補助事業が適切に遂行されていなかったことは発覚すれば、補助金の全額返還を求められることになるでしょう。

以上、IT導入補助金の事業実施効果報告について解説しました。補助金返還を避けるためには、とにかく最後まできっちり事業実施効果報告を完了させること。また、達成しなければいけない要件をしっかりクリアすることです。補助金が入金されてから、2年も3年も手続きが続いていくことに辟易する事業者の方も多いでしょうが、ルールはルール。交付を受けたからには、その責任と義務を履行しなければなりません。