IT導入補助金の審査ポイント

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この記事の目次

事業面からの審査

事業面の審査ポイントは、応募する枠によって違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

通常枠

  1. 自社の経営課題が何なのかを理解しているか
  2. 経営改善に向けて具体的な問題意識があるか
  3. 自社の状況や将来計画に対して課題分析ができているか
  4. 課題を改善したいプロセスと導入するITツールの機能がマッチしているか
  5. ITツール導入によって内部プロセスが効率化・高度化されるか
  6. データ連携による社内横断的なデータ共有・分析を取り入れられるか
  7. 生産性向上が継続的に行われ、長期的に事業の成長に取り組んでいけるか

セキュリティ対策推進枠での審査項目

セキュリティ対策推進枠の審査では、通常枠の審査項目に加えて、「自社で自立的に、または出資元の支援を受けてセキュリティ対策を進めているか」という点が審査項目に加わります。具体的なポイントは以下の通りです。

具体的には、「セキュリティ対策で必要とされるITツールへの投資やITツール活用が進んでいるか」「サプライチェーンへの寄与度が高いか」などのポイントが問われます。 サプライチェーンとは、原材料や製品の調達から最終的な販売につながる一連の流れのこと。サプライチェーンは、システム障害やサイバー攻撃などのリスクについてのセキュリティ対策が重要な意味を持つため、サプライチェーンへの寄与度の高さが審査のポイントとなるわけです。

インボイス枠での審査項目

インボイス枠についても、通常枠の審査ポイントを中心に、プラスアルファとして、「自社がインボイスにも対応できているか」「ITツールを導入して、効果的に生産性が向上していく効果があるか」などの点が審査のポイントとして加わってきます。

計画目標値の審査(労働生産性の向上率)

IT導入補助金の労働生産性とは、「1人の従業員が1時間当たりに生み出した付加価値額」を指します。労働生産性を数値化するには、人件費・減価償却費・営業利益から付加価値額を算出し、そこから労働生産性を計算するという流れになります。具体的な計算式は以下の通りです。

計算式
付加価値額 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費 付加価値額(粗利益に当たる部分)営業利益(売上高から売上原価や販売管理費を差し引いた利益)人件費(給与や賞与、各種手当など)減価償却額(固定資産や無形資産の使用期間に応じて分割した費用)
労働生産性 労働生産性=付加価値額** ÷( 従業員数 × 年間の勤務時間平均 )**従業員数(正規雇用、契約社員、パート、アルバイトの合計人数)年間の勤務時間平均(全従業員の勤務時間を平均した1人当たりの勤務時間)

IT導入補助金で経営の改善に取り組む場合には、まず、「労働生産性」「付加価値額」について具体的でかつ現実的な数値目標が設定されている必要があります。目標値が定められていることで、具体的などのような効果を生み出せるかが見えてくるため、審査の上でも非常に重要なポイントになるわけです。

政策面からの審査

次に政策面の審査です。ここでは、「働き方改革を視野に入れながら生産性の向上を目指し、国が推進する関連事業に取り組んでいること」が重視されます。できるだけ少ない労働時間で価値を生み出せば生産性は高くなり、生産性を向上することが働き方改革に直結するからです。長時間労働を是正するということは働き方改革で最も重要なテーマであり、実現のためには短い労働時間で生産性を高めることが重要です。また、結果的に従業員への賃上げに取り組んでいるかどうかも大切になります。

加えて、セキュリティ対策推進枠やインボイス枠では、「国の推進するセキュリティサービスを選定しているか」という点も重要です。「サイバーセキュリティお助けサービス制度」を有効活用し、大手企業と比べて脆弱とされるセキュリティ面について、対策を講じることが求められています。「サイバーセキュリティお助けサービス制度」には、24時間365日監視する見守り制度、問題が発生した時に地域のIT事業者等が駆けつける駆け付け制度、サイバー攻撃への対応時に発生する様々なコストに対する保険制度などがあります。

加点項目

最後に、審査通過の鍵となる加点項目について取り上げます。加点項目は非常に多くの種類があるので、主な加点項目だけをピックアップしました。順に見ていきましょう。

加点項目 内容
地域未来牽引企業への選定、 地域未来牽引企業としての目標提出 地域未来牽引企業とは、経済産業省に選定された地域経済の中心的な担い手となりうる事業者のことです。この事業者が地域経済発展のための目標を経済産業省に提出している場合、加点を適用できます。
賃上げ要件を満たす事業計画の表明・策定・達成 要件①事業計画期間に事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする要件②事業計画期間に給与支給総額を3年後に年平均成長率1.5%以上増加する。なお、事業計画期間に事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+50円以上の水準にした場合、さらなる加点を行う。
健康経営優良法人認定 健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践する法人を顕彰する制度です。これに認定されている事業者には加点が適用されます。
地域DX 促進活動支援事業における支援コミュニティ・ コンソーシアムから支援 地域DX促進活動支援事業とは、地域ぐるみで地域企業のDX実現を支援するため、地域の産学官金が参画する支援コミュニティを立ち上げ、地域企業のDX実現に向けたサポートを実施するものです。この支援を受け、支援証明書を発行された事業者には加点が適用されます。
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の公表 女性の活躍推進企業データベースに一般事業主行動計画を公表している事業者に加点が適用されます。
女性活躍推進法に基づく認定**** (えるぼし認定) えるぼし認定とは、女性活躍推進の取組実施状況が優良など、一定の要件を満たした事業所が、厚生労働省の認定を受けられる制度です。えるぼし認定には1段階からプラチナまで4段階あり、認定を受けた事業者に加点が適用されます。
次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみん認定) くるみん認定とは、次世代育成支援対策推進法に基づいた認定で、一定の要件を満たすと、子育てサポート企業として厚生労働省の認定が受けられます。くるみん、トライ、プラチナの3段階の認定があり、認定を受けた事業者には加点が適用されます。

以上、IT導入補助金の審査ポイントについて解説しました。審査の際に基準となる事項があらかじめわかっていれば、それを十分考慮したITツール選定、交付申請を行うことができ、採択に近づきます。また、適用できる加点項目があれば、漏れなく申請しましょう。ご覧の通り、いずれも簡単に要件を満たせるものではありませんが、その分、一つでも適用できれば、審査において大きなアドバンテージになるはずです。BIZ JAPANでは、審査対策も含めたIT導入補助金の申請サポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。