通常枠の補助対象
IT導入補助金通常枠の補助対象事業は、「供給・在庫・物流」「総務・人事・給与・労務」「顧客対応販売支援」など、自社の課題やニーズにあった以下に当てはまるITツールの導入です。補助対象事業者は、製造業やサービス業をはじめ、生産活動に資する事業を営んでいる中小企業および小規模事業者になります。
中小企業と小規模事業者で対象の要件が異なります。特に注意してほしいのは、中小企業です。業種によって、申請可能な事業者の定義が細かく分けられています。15の業種に区分されており、申請対象になる事業所の条件が少しずつ変わっているので注意してください。例えば、製造業と建設業、運輸業に該当する事業者は、「資本金もしくは出資総額が3億円以下」であることが必要です。その上で「常時使用する従業員数が300人以下」という要件もクリアしなければなりません。
中小企業
サービス業の場合、「資本金もしくは出資総額5,000万円以下」で「常時使用する従業員数が100人以下」となります。ただし、ソフトウェア並びに情報処理サービス業、旅館業は別個で条件が設定されているので注意してください。小売業だと「資本金額もしくは出資総額5,000万円以下」で、「常時使用する従業員数は50人以下」でなければなりません。まずは該当する業種の条件をチェックしましょう。
小規模事業者
小規模事業者の場合、業種で3タイプに分類されています。中小企業と比較すると、シンプルな構成になっているので確認しやすいでしょう。以下の通りです。
また、常時使用する従業員数のみが条件です。常時称する従業員の定義は、労働基準法第20条の規定に基づき「予め解雇の予告を必要とする者」が「常時使用する従業員」となります。正社員・パート・アルバイトの区別は関係ありません。以上の要件の対象を満たした上で、加えて申請条件がさらに細かく設定されているので注意しましょう。その条件は多岐にわたり、20項目以上あります。申請する前に、すべて条件を満たしているか公募要項で確認してください。
補助対象外となる事業者
前述したすべての要件をクリアしていても、補助金交付の対象外になる事業者もあるので注意してください。例えば、発行済み株式もしくは出資総額の2/3以上を大企業が所有している場合です。また、同一の大企業であれば、同じく出資総額の1/2以上所有していると申請できません。役員総数の半分以上が大企業の役員もしくは職員によって占められている場合も対象外になります。さらに、いわゆる風俗業を営んでいる事業者も申請できません。このように対象外になる法人に関する規定もあるので、公募要項で確認しておきましょう。
通常枠の補助額・補助率
IT導入補助金通常枠でいくら補助してもらえるのか、申請するにあたって気になるところでしょう。通常枠には2023年まで「A類型」と「B類型」という2つの類型がありましたが、2024年に統合されました。通常枠の補助額・補助率は下表の通りです。
補助額は、1プロセス以上の場合、5万円以上150万円未満。4プロセス以上の場合、150万円以上450万円以下に設定されています。補助率はプロセス数を問わず、1/2です。
プロセスとは
プロセス(=業務プロセス)とは、業務工程や業務種別のことです。プロセスは、共通プロセスと業務特化型プロセスに分けられ、共通プロセスには、「①顧客対応・販売支援」「②決済・債権債務・資金回収管理」「③供給・在庫・物流」「④会計・財務・経営」「⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム」という5つプロセス、業務特化型プロセスには、「⑥その他業務固有のプロセス」が含まれます。また、業務プロセスのほかに、汎用プロセスも設定されており、ここには「⑦汎用・自動化・分析ツール(業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア)」が含まれます。
通常枠の補助対象ツール
IT導入補助金とは、ITツールを導入するにあたって発生した経費の一部を補助するための制度です。しかし、「どのようなITツールを導入すれば、補助金申請できるのかよくわからない」という事業者もいるでしょう。簡単にいえば、「業務効率化が可能なソフトウェアやクラウドサービス」が対象です。クラウドサービスは利用料が補助対象になります。ただし、最長2年分の補助になるので理解しておいてください。
続いて、具体的なソフトウェアをいくつか紹介しましょう。まずは、RPAツールです。ロボットを使ったツールで、業務の自動化を実現します。様々な業種・企業でRPAツールの導入が進んでいます。グループウェアの導入もIT導入補助金の対象です。社内の情報供給がスムーズになります。顧客管理や営業支援のためのCRMツールやSFAツールもITツールに含まれます。顧客情報や営業活動が可視化でき、ノウハウを社内で共有できるのが強みです。その他、Web会議システムをはじめとした、テレワーク環境整備を目的とするツールの導入にも補助金は交付されるでしょう。
ソフトウェア本体の費用だけではなく、導入関連費も補助対象になります。例えば、オプション導入費です。機能拡張(ソフトウェアに後から利用できる機能を追加すること)やデータ連携(企業内外の様々なシステムやアプリにあるデータをつなげるツール)などに係る経費も補助されます。さらに、役務の提供にも補助金申請できます。役務とは、システム導入にあたってのコンサルティングやマニュアルの作成、研修プログラムの実施代行にかかる費用などです。
通常枠の補助対象外経費
また、最後に補助対象外となる経費についてもふれておきます。申請するにあたって注意が必要なのは、ソフトウェアを導入したとしても経費として認められないものがあるということです。以下で紹介するものは経費としてカウントされないので注意してください。
・ITツール代金の中で、補助事業者の顧客が実質的に負担する形になっている
・申請時点で利用料の具体的な価格が決まっていない
・無料で提供されている
・リースもしくはレンタル契約
・中古品
・交付決定前に購入した
・交通費や宿泊費
・代行費など補助金申請手続きで発生したコスト
・消費税をはじめとした公租公課
・その他
ITツールを導入することで、売上アップや業務効率改善、リモートワークの推進への対応が可能になります。そんなITツールの導入を検討しており、経費を抑えていきたいという方には、IT導入補助金の活用がおすすめです。本記事も参考にして活用するかどうか検討を進めていきましょう。BIZ JAPANではIT導入補助金の申請サポートをしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。