IT導入補助金の申請プロセスとスケジュール感
ITツールの導入に必要な経費の一部が補助されるIT導入補助金。IT導入補助金の申請は、IT導入支援事業者(申請者をサポートしてくれる事業者。ITベンダー・サービス事業者とも呼ばれる)と中小企業・小規模事業者が、共同で行うものです。活用を進めるにあたって、申請プロセスやスケジュールが気になっている方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、中小企業・小規模事業者の申請プロセスとスケジュールについて、わかりやすく解説していきます。ぜひご一読ください。
IT 導入補助金申請の流れ
事前準備
① IT導入補助金の概要を理解する
IT導入補助金の補助対象者は、中小企業・小規模事業者で飲食、宿泊、卸、小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業など、業種の幅が広いです。申請枠は大きく分けて、通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス対策枠の3つがあり、それぞれ申請できるITツールや補助率・補助額などが異なります。
②GBizIDプライムアカウントの取得
GBizIDは法人・個人事業主向けの共通認証システムです。3種類のアカウントがありますが、IT導入補助金に申請には、GBizIDプライムアカウントが必要になります。また、GBizIDプライムの申請は郵送のみで受付されており、申請から発行まで2週間程度かかるため、早めに取得しておきましょう、なお、個人事業主の方は、マイナンバーカードを利用したオンライン申請も可能です。
③SECURITY ACTIONの実施
SECURITY ACTION(セキュリティアクション)は、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度。取り組みのレベルに応じて、「★一つ星」「★★二つ星」を取得できます。SECURITY ACTIONの実施はIT導入補助金の申請要件に入っているので必ず実施しましょう。
④みらデジ経営チェックの実施
みらデジ経営チェックは、無料で使える経営課題解決のためのチェック・サポートツールです。チェック結果をもとに、各種支援施策や課題解決にむけたデジタル化の取り組み情報などをキャッチアップできます。みらデジ経営チェックの実施は、IT導入補助金の申請要件に入っているので必ず実施しましょう。
IT導入支援事業者・ITツール選定
自社の業種や事業規模、経営課題に沿ってIT導入支援事業者と導入したいITツールを選定する必要があります。IT導入支援事業者とは、中小企業・小規模事業者に対するITツールの説明・導入・運用方法の相談などのサポートや補助金の申請・報告書の提出などのサポートを行うパートナーのことです。選定するIT導入支援事業者によって、選定できるITツールに違いがあります。ITツールを選択する際は、申請枠によって選択できるITツールに制限があることに注意してください。
たとえば、インボイス枠であれば「会計・財務ソフト」「受発注ソフト」「決済関連ソフト」などが申請対象になります。具体的には、、POSレジや会計ソフトなどです。セキュリティ対策推進枠ではサイバーセキュリティ関連のツールが対象となります。具体的には、UTM(統合脅威管理)やERP(企業資源計画)の関連ツールなどが挙げられます。その他、通常枠ではSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)なども対象となり、幅広いITツールに対して活用可能です。
交付申請・審査
IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。申請枠ごとに異なる箇所があるので、申請する枠の手引きをよく確認してください。IT導入補助金公式サイトにある交付申請の手引きを確認するようにしましょう。
申請プロセスは以下の通りです。
- I T導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力
- 交付申請に必要となる情報を入力・書類添付
- IT導入支援事業者が、導入するITツール情報、事業計画値を入力
- 『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出
また、IT導入補助金の審査では、「自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか」「自社の状況や課題分析及び将来計画に対し、改善すべきプロセスが導入するITツールの機能により期待される導入効果とマッチしているか」などのポイントが審査の基準として定められています。
ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)
交付申請が完了し、事務局から交付決定を受けた後に、ITツールの発注・契約・支払いを行いましょう。ポイントとして、交付決定前に発注・契約・支払いなどを行った場合は、補助金の交付を受けることができません。必ず「交付決定後」に発注などを行ってください。また、事業実施のうえでの心がけるべきこと、注意すべきことは以下の通りです。
事業実施時の注意事項
- 最初に契約・発注
- すべてのITツールの事業を、事業実施期間内に完了
- IT導入支援事業者から請求の後で支払い
- 実績報告提出までに、全てのITツールの利用・運用を開始
- 契約書・請求書・領収書など事業に係る証憑(しょうひょう)は全て保管
事業実績報告・補助金交付
事業実績報告とは、事業実施期間中に実施した取組について、補助金事務局に報告することです。実績報告の段階で、すべてのITツールで事業が完了して、ITツールの利用・運用を開始している必要があります。実績報告のプロセスで心がけるべきこと、注意すべきことは以下の通りです。
実績報告時の注意事項
- 申請マイページから必要な情報の入力と証憑の添付を行って、事業実績報告を作成
- 補助金受け取り口座の入力・添付を欠かさず行う
- 報告期間内に報告を完了させる
- 自ら事務局に事業実績報告を提出する
なお、実績報告に不備や漏れがある場合、差し戻されて修正が必要となります。修正が期間内に完了できなければ、補助対象から外れてしまうのでご注意ください。実績報告が完了して補助金額が確定すると、申請マイページで補助額を確認できるようになり、内容の確認が終わってから補助金が交付されます。申請者が補助金額確定内容の容認を行ってから補助金入金までは、おおよそ1カ月程度です。
事業実施効果報告
事業実施効果報告は、定められた期限内に補助事業者が申請マイページから売上・原価などの情報を入力したのち、IT導入支援事業者の確認を経て提出する手続きです。効果報告の期限や回数は補助枠によって違いがあり、報告時期が近づくと事務局からの通知メールがくるので、忘れずに対応しましょう。また、報告結果が交付規程を満たしてない場合や結果報告を怠った場合は、補助金の返還を求められることになるので十分注意してください。効果報告での心がけるべきこと、注意すべきことは以下の通りです。
事業実施効果報告時の注意事項
- 申請マイページから宣誓事項の確認・同意を行う
- IT導入支援事業者が内容の確認と必要情報の入力を正確に行う
- 効果報告期間内に報告を行い、完了させる
- 補助事業は確実に遂行し、疑義の報告は行わない
- 自らで事務局に事業実施効果報告を提出
以上、IT導入補助金の申請プロセスとスケジュール解説を行ってきました。確かに工程数は多いですが、IT導入補助金の申請プロセスとスケジュールの一つひとつは決して複雑なものではありません。支援事業者と協力しながら進めれば、企業を問わず活用できるものとなっています。BIZ JAPANでは、IT導入補助金の申請サポートも行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。