小規模事業者持続化補助金の実績報告

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実績報告とは

実績報告は、補助事業が完了したことを補助金事務局に報告する手続きです。補助事業の実施内容と経費内容をまとめた実績報告書を作成し、経費が適切に支出されたことを証明する経理書類、証拠写真などを提出すると、補助金事務局による確定検査が行われます。確定検査では、必要に応じて現地調査が実施されることもありますので、いい加減な報告はできません。確定検査の結果、問題ないことが確認されたら、最終的に交付される補助金の額が確定。補助金の請求手続きへと移っていきます。

実績報告の提出期限と所要期間

実績報告書の提出期限は、「補助事業終了後、その日から起算して30日を経過した日」、または、「最終提出期限日」のいずれか早い日となります。実績報告後、確定検査が完了するまでの期間はおおそよ1ヶ月程度です。しかし、実績報告の内容に不備・不足がある場合は、補助金事務局から差し戻されるため、都度修正・追加の対応をして、申請をやり直さなければなりません。そのため、不備・不足が多いと何度も差し戻されることになり、確定検査がなかなか進展せず、補助金の入金が想定よりも遅れてしまうケースもありますので、一つひとつきちんと確認しながら、手続きを進めるようにしましょう。

実績報告時の提出書類

では、実績報告時に提出しなければいけない書類とは、どのようなものなのか。主な提出書類と記載事項、作成・管理する上での注意事項などを整理してみました。

実績報告書

補助事業の実施内容と経費内容(支出内容)をまとめた書類です。記載項目は以下の通りになります。

記載項目 ポイントと注意事項
事業者名 事業を実施した法人または個人事業主の正式な名称を記載しましょう。
事業名 申請時に使用した補助事業のタイトルをそのまま流用しましょう。
事業の具体的な取組内容 事業計画書に記述した販路開拓や生産性向上の取組を流用しましょう。事業計画書に書かれていなくても、事業実施期間中に考案・実践した創意工夫などがあれば、それも記述すると良いでしょう。
事業成果(概要) 補助事業を通じて達成した成果・効果について記述しましょう。 ●広告掲載効果で2024年1月の月間販売個数が昨対比150%増加 ●キャッシュレス決済端末導入により、お会計対応の時間がゼロにという具合に、成果の内容を強調する見出しを立てて、箇条書きで列挙するイメージです。
事業経費の状況 支出した補助対象経費の詳細を「支出内訳書(別紙3)」を参照する形で記載します。これにより、事業計画に沿って経費が適切に支出されていることを示します。
本補助事業がもたらす 効果など 上記「事業成果(概要)」欄に記述した内容について、より具体的かつ詳細な説明を記述しましょう。数値を交えて記述した方が良いのは前述の通りですが、グラフなどの図版を使用して説明すると、視覚的によりわかりやすくなります。賃金引上げ枠で交付決定を受けた補助事業者は、賃金引上げ枠に係る実施報告書(別紙5)も添付してください。
本補助事業の推進に あたっての改善点、意見など 事業実施期間中に感じた課題を記述しましょう。「もっとこうする必要がある」「こうした方がもっと生産性が上がったかも」など、感じたことをありまま書けばOKです。

支出内訳書

補助事業で支出した経費を経費区分ごとに記載します。経費区分は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費の11項目です。各経費項目の金額だけではなく、それに基づく補助対象経費の小計額・合計額、交付決定通知書記載の補助金の額、補助金額なども記載する必要があります。

経費支出管理表

補助事業で支出した経費の流れを記載します。記載項目は、費目、実際の支出金額、実際の支出金額のうち補助対象経費として計上できる金額、発注・申込・契約日、支払日、支払先、支出内容の7つ。あわせて提出する経理書類と金額・日付などが不一致にならないよう、一つひとつ確認・照合しながら作成しましょう。

賃金引上げ枠に係る実施報告書(該当者のみ)

賃金引上げ枠で交付決定を受けている事業者は、賃金引上げ枠に係る実施報告書に賃金引上げの実施結果を記載し、実績報告書とあわせて提出する必要があります。賃金引上げ枠には、「直近1か月分の事業場内最低賃金が、申請時の地域別最低賃金より+50円以上」「申請時点で事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+50円以上を達成している場合は、申請時点で支給されている事業場内最低賃金より+50円以上」を達成するという要件が定められています。補助金事務局で賃金引上げ枠に係る実施報告書で達成状況を確認し、未達の場合は、交付決定を受けていても、補助金の交付は行われません。

経理書類

書類名 注意事項
見積書・相見積書 宛先・取引先・購入する物品・サービスの名称・数量・単価・金額・日付の記載が必須です。1件あたり100万円(税込)を超える場合は相見積書が必要になります。中古品を購入する場合は、金額に関わらず複数者からの相見積書が必要です。
発注書・申込書・契約書 購入する物品・サービスの名称・数量・単価・金額などは、見積書の記載内容と一致させましょう。また、交付決定日から事業実施期限までに発注・申込・契約した物品・サービスのみが補助対象となるため、発注のタイミングや書類の日付には注意が必要です。
納品書・完了報告書・検収書 物品やサービスが納品されたタイミングで業者から納品書や完了書を発行してもらい、記載内容と実際の状況に不一致がないかを確認。発注通りに納品されていたら、事業者から業者に検収書を発行するという流れです。そのため、納品書(完了報告書)と検収書の日付が前後しないよう注意してください。
請求書 請求書に記載する購入した物品・サービスの名称・数量・単価・金額などは、他の経理書類の記載内容ときっちり一致させましょう。加えて、税抜・税込の請求金額・支払先・支払条件が明記されている必要があります。
支払証明書類 支払方法は銀行振込が原則です。振込が完了したら、金融機関から振込明細書を発行してもらいましょう。クレジットカード払いにする場合は、実施期間内に口座からの引き落としが完了していなければなりません。
証拠写真 必要に応じて、証拠写真の提出を求められます。店舗やウェブサイトの改修・リニューアルをした場合は、改修前と改修後の写真がそれぞれ必要になるので、忘れずに撮影しましょう。

以上、小規模事業者持続化補助金の実績報告について解説しました。提出書類が多い上、一つひとつの内容や日付に注意する必要があり、結構な時間と手間がかかる手続きになるとお分かりいただけたのではないでしょうか。補助金申請に際しては、申請段階から実績報告のことまで視野に入れておくことが大切です。そうすれば、事業実施期間中の対応もおのずと慎重になります。実績報告を一人で行う自信がないという事業者の方はぜひBIZ JAPANにご相談ください。実績報告を含めた補助金申請手続きを丁寧に伴走サポートします。