小規模事業者持続化補助金の加点項目

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加点項目とは

加点項目とは、要件を満たすと評点が加算される項目です。小規模事業者持続化補助金の審査は、審査員が経営計画書をはじめとする申請書類の内容を確認し、評価する箇所に点数を付ける「加点方式」で行われます。評点の高い事業者から順に採択される仕組みになっているため、加点項目は評点を上げる上で非常に重要です。

小規模事業者持続化補助金には、全10項目の加点項目が用意されています。そのうち、重点政策加点が4項目、政策加点が6項目あり、それぞれ1項目ずつ選択できます。申請した加点項目が認められなくても減点はされないため、少しでも該当する可能性がある項目は漏らさず申請しましょう。次のセクションからは、各加点項目の内容と適用される要件を解説していきます。

重点政策加点

赤字賃上げ加点

赤字賃上げ加点は、賃金引上げ枠に申請する事業者が対象の加点項目です。賃金引上げ枠に応募できる事業者の要件は、「補助事業の終了時点で事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+50 円以上であること」と定められています。赤字賃上げ加点は、賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、「直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下である事業者」のみが申請できます。経営計画書兼補助事業計画書の所定の欄にチェックを入れると、自動的に加点されます。赤字事業者は忘れずに記述しましょう。

事業環境変化加点

ウクライナ情勢や原油、LPガス等の価格高騰の影響を受けている事業者が対象の加点項目です。申請時には、受けた影響の内容を記載する必要があります。文章で記入するだけではなく、実際の市場価格の推移を調査し、データも交えて示すとより効果的です。

東日本大震災加点

福島第一原子力発電所で発生した事故の影響により、避難指示等の対象となった地域の事業者および被害を受けた水産加工業者に適用される加点項目です。申請には、受付印のある食品衛生法に基づく営業許可証、もしくは届出書の写しの提出が必要になります。

くるみん・えるぼし加点

次世代育成支援対策支援法「くるみん認定」を受けた事業者と、女性活躍推進法「えるぼし認定」を受けた事業者に適用される加点項目です。くるみん・えるぼし加点の申請には、基準適合一般事業主認定通知書の写しが必要になります。「くるみん認定」「えるぼし認定」ともに管轄は厚生労働省です。

「くるみん認定」は、事業者が自発的に次世代育成のための行動計画を立て、目標を達成するなど一定の基準を満たすと受けられます。「えるぼし認定」を受けるには、女性の活躍推進への取組について、採用・継続就業・労働時間等の働き方・ 管理職比率・多様なキャリアコースという5つの評価項目について1つ以上基準を達成した上で、「女性の活躍推進企業データベース」に実績を公表することが必要になります。

政策加点

パワーアップ型加点

パワーアップ型加点には、地域資源型と地域コミュニティ型の2つがあります。地域資源型は、地域資源を活用した質の高いサービスや商品の提供、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う事業者に対する加点です。地域コミュニティ型は、地域の課題解決やニーズに応えるサービスを行う事業者が対象となり、地域内の需要喚起を目的とする計画に加点されます。いずれも、取組計画を記載する欄があるため、適用される場合は忘れずに記入してください。

経営力向上計画加点

経営力向上計画加点は、中小企業強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた事業者に適用される加点項目です。経営力向上計画とは、中小企業庁が所轄する中小企業・小規模事業者支援政策であり、人材育成・コスト管理・設備投資など、経営力向上のための計画を立案・申請し、認定を受けた事業者が、税制や金融の支援などを受けられます。経営力向上計画加点の申請には、経営力向上計画の認定書の写しが必要です。

賃上げ加点

最低賃金引き上げだけに留まらず、積極的に賃金を引き上げ、従業員に成果を還元する意欲的な事業者に適用される加点項目です。賃金引上げ枠を選択すると自動的に適用されます。

事業承継加点

代表者が満60歳以上の事業者のうち、後継者候補が中心になって補助事業を行う場合に適用される加点項目です。申請には、事業承継診断票や代表者の生年月日が確認できる公的書類、後継者候補の実在確認書類の写しなどを提出する必要があります。事業承継診断票とは、中小企業庁が作成した事業承継に関する小規模事業者向けのヒアリングシートであり、後継者の有無や事業売却先について回答します。

過疎地域加点

過疎地域加点は、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法で定められた過疎地域に所在する事業者に適用される加点項目です。該当地域で地域経済の持続的発展への取組を行うことが加点の要件になります。特別措置法で定める過疎地域に該当する地域は、総務省のWebサイト過疎地域市町村等一覧で確認できます。

一般事業主行動計画策定加点

一般事業主行動計画策定加点は、従業員が100人以下で、女性の活躍推進企業データベースに一般事業主行動計画を公表している事業者に適用される加点項目です。従業員100 人以下の事業者で、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に「次世代法に基づく一般事業主行動計画」を公表している事業者にも適用されます。重点政策加点のくるみん加点・えるぼし加点を選択している場合は、対象外になります。

<br> 以上、小規模事業者持続化補助金の加点項目について解説しました。たくさんの加点項目が設けられている一方、適用できそうな項目は多くないと感じた方も多いのではないでしょうか。誰もが簡単に適用できることであれば、加点項目にする意味がなくなりますので致し方ありません。一つでも適用できそうな項目があれば漏らさず申請し、1点も多く評点を獲得できるように努めましょう。