小規模事業者持続化補助金の審査基準と経営(事業)計画書作成のポイント

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この記事の目次

小規模事業者持続化補助金の審査基準

小規模事業者持続化補助金の審査は、中小企業診断士など外部の有識者などが行います。採択率は45~60%程度で、申請した事業者の半数ほどが不採択となる計算です。審査は加点方式で実施され、より多くの得点を獲得した事業者から順に採択されます。そのため、審査の基準をしっかり抑えた、得点を稼げる経営(事業)計画書を作成しなければなりません。

小規模事業者持続化補助金の審査において、審査員で注視しているポイントは以下の9つです。経営(事業)計画書を作成する際には、これらのポイントを常に意識して、可能な限り計画書に反映できるよう努力しましょう。

(1)自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか

(2)経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか

(3)経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか

(4)補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか

(5)補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか

(6)補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか

(7)補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか

(8)補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか

(9)事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか

経営計画書兼補助事業計画書 経営計画

続いて、申請時に作成・提出する「経営計画書兼補助事業計画書」のうち、「経営計画」という項目を記述する際のポイントを解説します。

企業概要

会社設立日や創業理念などを中心に、代表者の経歴、会社の沿革、事業所の立地場所、営業時間、提供している商品・サービスなどについて記述します。商品やサービスの詳細については別途記入する欄があるので、ここでは名称と概要のみ簡潔に記述するようにしましょう。事業所の外観写真や製品の写真などを付けておくと、よりわかりやすくなります。

顧客ニーズと市場の動向

現在の事業内容について、主な顧客層、顧客の課題やニーズについて記述します。顧客の課題やニーズについては、数十名程度の小さな規模でも構いませんので、簡単なアンケート調査を実施し、その結果や顧客の「生の声」を紹介すると説得力が高まります。また、市場規模や今後の市場規模の変化予測などにも言及しましょう。市場規模に関する情報は公的機関や民間団体などが調査した情報が、インターネット上に無数に公開されていますので、肉付けになる調査結果を探して、引用しましょう。

自社や自社の提供する商品・サービスの強み

ここで、自社の提供する商品・サービスの特長・強みについて詳しく記述します。自社の強みは、単に「当社の強みはここです!」と訴えるのではなく、SWOT分析などのフレームワークを活用し、競合他社の製品・サービスや市場環境なども踏まえた上で、「だから、当社の強みはここだと考えています!」と記述するのがオススメです。説得力に大きな差が付きます。

経営方針・目標と今後のプラン

現在の経営状況を踏まえた経営課題を洗い出し、補助事業で課題解決に取り組みたい旨を記述します。目標は壮大なものである必要はありません。地に足のついた、現実的で達成可能なレベルに設定しましょう。また、「年5~10%前後の売上高増加率を達成」など、数値を交えて具体的に記述することも重要です。目標数値の推移や予測などは、グラフを用いて示すと視覚的にもわかりやすくなります。

経営計画書兼補助事業計画書 補助事業計画

続いて、「経営計画書兼補助事業計画書」のうち、「補助事業計画」という項目を記述する際のポイントを解説していきます。「経営計画」との違いが少々わかりづらいですが、「経営計画」は「これまでやってきた事業」について、「補助事業」は「補助金を活用してやりたい事業」について記述するイメージです。それでは、順に見ていきましょう。

補助事業で行う事業の名称

補助金を活用して取り組みたい事業の名称(タイトル)を付けます。補助事業の名称は「30文字以内」という制限があるため、その範囲内で。補助事業の内容が容易にイメージできる、わかりやすいものにしましょう。また、「販路開拓」「販路拡大」「生産性向上」「業務効率アップ」など、小規模事業者持続化補助金の主旨に合致したキーワードを盛り込むのもオススメです。

販路開拓等(生産性向上)の取組内容

ウェブ・SNS広告配信、SEO対策、訪問営業、電話営業、紙媒体への広告掲載、チラシ配布(メールDM、郵送DM、街頭配布)、ポスティング、キャンペーンなど、販路開拓の手法は様々です。補助事業の中で、「販路開拓・拡大のために、どのような営業活動・プロモーションを実施するのか」「その活動や施策を推進する上で、どのような創意工夫を行うのか」などの点を具体的に記述しましょう。

業務効率化(生産性向上)の取組内容

この項目の任意記入ではありますが、何か加点につながるかわかりませんので、可能な限りしっかり記述しましょう。ポイントは@「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。「どのような機能・性能を有するデジタル技術を活用するか」「そのデジタル技術を活用して、自社の業務効率をどのように向上させるか」などのポイントを具体的に記述しましょう。

補助事業の効果

「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」と「業務効率化(生産性向上)の取組内容」について、それを実施することで、どのような効果が見込めるかを記述します。効果は大きい方が良いですが、非現実的なことを書いても意味がないので、あくまで現実的に達成可能な範囲で。また、「月間問い合わせ件数20%アップを達成」「月間製造量1,000個増加を実現」など、数字を交えて具体的に記述し、必要に応じて、ビフォーアフターの変化を示すグラフなども盛り込むと、よりわかりやすくなります。

経営計画書兼補助事業計画書 加点項目

加点項目とは、要件を満たすと評点が加算される項目のことです。小規模事業者持続化補助金には複数の加点項目が設けられており、ここでは「経営計画書兼補助事業計画書」の中に、「どのように該当するのか(なぜ該当すると言えるのか)」を記述することによって加点される可能性がある項目について解説します。

事業環境変化加点

現在の事業活動の中で、ウクライナ情勢、原油価格高騰、LPガス価格高騰などの影響を受けている事業者は、その旨を記載しましょう。文章で記入するだけではなく、実際の市場価格の推移を調査し、データも交えて示すとより効果的です。調査は2022年を起点として比較し、その前後の経費の増加と利益へ与える影響を具体的な数値で表します。その他、自社に与えるマイナス影響を客観的な数値として示しましょう。数値はグラフや表で示すと、よりわかりやすくなります。

パワーアップ型加点 地域資源型

地域資源型の加点を狙う場合は、補助事業の中で地域資源を活用し、地域外への販売や新規事業の立ち上げを行う計画を盛り込みます。地域資源の利用例としては、「地域特産食材を活用した新商品を開発する」「地域の伝統工芸技術で製作された商品を自社店舗やECサイトで販売する」などが挙げられます。

パワーアップ型加点 地域コミュニティ型

地域コミュニティ型の加点を狙う場合は、まず地域全体の課題や需要を考えましょう。地域課題の解決例としてよく挙げられるのは、空き家や商店街空き店舗の活用などです。事業(ビジネス)というのは、何かしら課題解決に通じているもの。補助事業で提供する商品・サービスに、少しでも地域の課題解決に資する部分があるようでしたら、些細なことも良いので積極的にアピールしましょう。

<br> 以上、小規模事業者持続化補助金の経営(事業)計画書作成について解説しました。経営(事業)計画書の評価は採択・不採択を大きく左右します。いい加減な計画では高い評点は見込めず、不採択へまっしぐらです。審査員に実現性・収益性の高さを感じさせる、具体的かつ現実的な計画を策定し、採択を引き寄せましょう。「自分で作成する自信がない…」という事業者の方は、ぜひBIZ JAPANをご利用ください。経営(事業)計画書の作成を丁寧にバックアップします。