申請から補助金の交付まで
上図は小規模事業者持続化補助金の申請プロセスを整理したものです。本記事では、申請プロセスを「申請準備~申請手続き」「審査~採択・交付決定」「事業実施」「実績報告~補助金入金」「事業効果報告」という5つの段階に分けて、各段階で必要な対応や対応時の注意点、対応に要する時間・期間などを詳しく解説していきます。順に見ていきましょう。
第 1 段階 申請準備~申請手続き
Gbiz プライムアカウントを取得する
小規模事業者持続化補助金の申請は、「郵送」と「電子(オンライン)」という2つの方法が認められていますが、郵送での申請は減点対象となってしまうため、オススメは電子申請です。電子申請は、国や自治体の補助金の電子申請システム「jGrants」で行うことになり、「jGrants」を利用するには、事前に「Gbiz IDプライムアカウント」を取得しておかなければなりません。「Gbiz ID」とは、法人・個人事業主向けの共通認証システムであり、法人・個人を問わず無料で取得できます。「Gbiz IDプライムアカウント」は申請から取得まで最大2週間ほどかかりますので、早めに取得しておきましょう。
公募要領を確認し、申請枠を選択
公式サイト上に公開されている公募要領およびガイドブックを読み込み、小規模事業者持続化補助金について理解を深めましょう。まずは、補助対象者の要件(業種・従業員数など)、補助対象経費・対象外経費、各申請枠の補助率・補助額、申請書類などを確認し、下表にある5つの申請枠の中から自社が申請する枠を選びます。通常枠はどの事業者でも申請可能ですが、特別枠の4つはそれぞれ追加の要件が定められており、その要件を満たした事業者のみ申請できます。
申請書類の準備
申請書類には、経営計画書兼補助事業計画書、事業支援計画書、補助金交付申請書など、すべての申請者が提出するべきものと、希望する申請者のみ追加で提出するものがあります。必須書類のうち、経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)には事業者の名称、業種、直近1期分の売上・利益、加点項目のほか、経営計画とその効果を記載。補助事業計画書②(様式3)には、申請する補助対象経費の明細や資金調達計画などを記載します。
また、経営計画書や他の申請書類一式を地域の商工会・商工会議所窓口に提出し、事業支援計画書(様式4)の作成・交付を受けなければいけません。事業支援計画書交付の受付締切は公募締切の1週間前であり、それを逃すと補助金の申請自体ができなくなってしまうため注意してください。書類の準備には、少なくとも2週間~1ヵ月程度の期間を要すると考えておきましょう。
電子申請
申請書類が一通り揃ったら、「jGrants」から電子申請を行います。「Gbiz IDプライムアカウント」で「jGrants」にログインし、表示された複数の補助金の中から「小規模事業者持続化補助金」を選択。申請フォームが表示されたら、入力をスタートします。スムーズに進めば2~3時間程度で完了する作業ですが、入力している途中に「この情報がわからない」「この書類がない」といった不備に気付くことも多く、その対応に追われていると、あっという間に時間が過ぎていきます。初めて申請するという方は、事前準備を入念に行うことはもちろんですが、十分な時間的余裕を確保してから電子申請に取り掛かったほうが良いでしょう。
第 2 段階 審査~採択・交付決定
小規模事業者持続化補助金では、加点方式による審査が行われ、評点の高い事業者が上から順に採択される仕組みになっています。採択率はおおよそ45~60%程度であり、申請した事業者のうち、半数程度が不採択となる計算です。
審査結果は、申請締切日から2ヵ月~2.5ヵ月程度で補助金公式サイトに公開されます。採択された事業者には、申請時に提出した補助金交付申請書を補助金事務局が確認し、不備がなければ交付決定通知書が発行されます。
第 3 段階 事業実施
交付決定通知書受領後に、いよいよ補助事業をスタートさせます。小規模事業者持続化補助金の事業実施期間はおおよそ7カ月程度です。この事業実施期間中に、経営(事業)計画書に記載した取組をすべて完了させなければいけません。補助対象となる経費も、交付決定通知書に記載された日付から補助事業実施期限までに発注・納品・支払いを完了したものに限られます。経理書類に不備・不足が生じないよう注意してください。
また、申請枠によっては、事業実施期間中に達成しなければいけない要件が設定されていますので、確実に達成できるよう、計画的に取り組ましょう。なお、補助事業の内容に変更が生じた場合には、事業開始前に変更承認申請書を提出し、事務局の許可を得る必要があります。
第 4 段階 実績報告~補助金入金
事業実施期間中にすべての取組を完了させた後、実績報告を行います。補助事業の実施内容と経費内容をまとめた実績報告書を作成し、経費が適切に支出されたことを証明する経理書類、証拠写真などを提出すると、補助金事務局による確定検査が行われます。確定検査では、必要に応じて現地調査が実施されます。
実績報告書の提出期限は、「補助事業終了後、その日から起算して30日を経過した日」、または、「最終提出期限日」のいずれか早い日となり、最初の報告から確定検査が完了するまでの期間はおおそよ1ヶ月程度です。しかし、実績報告の内容に不備・不足がある場合は、補助金事務局から差し戻され、修正・追加の対応をして申請をやり直すことになるため、想定以上の期間を要するケースもあります。確定検査を無事クリアすると最終的な補助額が確定し、確定通知書が発行されます。
確定通知書を受領した後、補助金の請求手続きへと進みます。請求手続きは、精算払請求書と補助金を振り込む金融機関の通帳コピーを提出するだけの簡単なものですので、さほど時間も手間もかかりません。請求後、おおよそ1か月後を目安に補助金が振り込まれることになります。
第 5 段階 事業効果報告
補助金の入金が完了しても、すべてが完了したわけではありません。補助事業完了から1年後に、事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出を求められます。指定された期日までに報告書を作成し、補助金事務局に提出するのが、小規模事業者持続化補助金の交付を受けた事業者の義務です。報告書には、事業効果および賃金引上げ等状況報告書には、事業実施期間中の成果や賃金引上げの実績、雇用状況の詳細を記載することになります。
事業効果および賃金引上げ等状況報告書の存在をすっかり忘れてしまう事業者は少なくありませんが、提出を怠れば、最悪の場合、補助金返還を求められることになりますので十分注意してください。
<br> 以上、小規模事業者持続化補助金の申請プロセスとスケジュール感について解説しました。ご覧の通り、何段階ものプロセスがあり、手続きしなければいけないことも多く、申請から入金までに半年以上かかることもケースもあります。なるべく早く補助金を手にするためにも、計画的に取り組んでいく必要があります。BIZ JAPANでは、補助金申請手続きが円滑かつスピーディーに進むよう、事業者の皆さんをバックアップしていますので、申請を検討される際はぜひご利用ください。