補助金の実績報告とは?

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実績報告とは

実績報告とは、補助事業が完了したことを補助金事務局に報告する手続きです。補助事業の実施内容や経費内容を精査した実績報告書、適切に補助対象経費が支出されていることを証明する経理書類、購入した製品や利用したサービスに関する証拠写真なども提出し、補助金事務局による確定検査を受けます。確定検査で問題ないことが確認されたら、最終的な補助金額が確定し、補助金の請求手続き、補助金の入金へ進んでいきます。

実績報告時の提出書類

前項でも簡単にふれましたが、実績報告時の提出を求められる主な書類を紹介します。いずれの書類も、不備や不足があれば事業者に差し戻され、訂正・追加の上、改めて交付申請をやり直すことになります。

経理書類 注意事項
見積依頼書 見積りを依頼する際、業者に送付する依頼書です。見積依頼書の内容に合わせて、業者に見積書を作成してもらいます。
見積書・相見積書 補助対象経費として支出する経費は、最初に必ず業者から見積書を取ります。また、「単価〇万円以上の場合」など、一定の金額を上回る場合は、追加で1者(または2者)から相見積書を取ることも求められます。その際、各見積書に記載された製品・サービスの名称、内訳、単価、数量などは、すべての見積書で一致させなければなりません。また、見積依頼書とも内容を一致させる必要があります。
パンフレット・カタログ 補助事業で機械装置などを購入する場合は、その機械の特長・性能、そして、価格が記載されたパンフレットやカタログなどの提出を求められます。最近はインターネット上にパンフレットやカタログのPDFファイルが公開されているケースも多く、そこからダウンロードできます。インターネットで入手できない場合は、業者依頼しなければなりません。
工事図面・配置図 補助事業で店舗や工場などの内装工事を行う場合は、工事図面と配置図の提出を求められます。配置図とは、建物の配置や敷地との位置関係を示した図面であり、通常、工事業者に依頼すれば作成してもらえます。
発注書・申込書・契約書 購入する物品・サービスの名称・数量・単価・金額などは、見積書の記載内容と一致させましょう。また、交付決定日から事業実施期限までに発注・申込・契約した物品・サービスのみが補助対象となるため、発注のタイミングや書類の日付には注意が必要です。
納品書・完了報告書・検収書 物品やサービスが納品されたタイミングで業者から納品書や完了書を発行してもらい、記載内容と実際の状況に不一致がないかを確認。発注通りに納品されていたら、事業者から業者に検収書を発行するという流れです。そのため、納品書(完了報告書)と検収書の日付が前後しないよう注意してください。
請求書 請求書に記載する購入した物品・サービスの名称・数量・単価・金額などは、他の経理書類の記載内容ときっちり一致させましょう。加えて、税抜・税込の請求金額・支払先・支払条件が明記されている必要があります。
支払証明書類 支払方法は銀行振込が原則です。振込が完了したら、金融機関から振込明細書を発行してもらいましょう。クレジットカード払いが認められている場合は、事業実施期間内に口座からの引き落としが完了しており、それを証明できる明細書を提出することが必須となります。

実績報告の審査

実績報告書の審査は、補助金事務局が上記の提出書類をチェックし、「補助事業が採択された事業計画書通りに遂行されているか」「補助対象経費がルールに則り、適切に支出されているか」という点を細かく審査します。また、書類による審査だけではなく、必要に応じて、現地調査が行われることもあります。補助金事務局から派遣された審査員が現場を訪問し、「提出書類に記載された内容との不一致点がないか」を確認するのです。そのため、「書類上だけそれらしく書いておけばいい」と楽観的に考えて、事実と異なる報告すると、痛い目に合う可能性があります。

実績報告の提出期限と所要期間

実績報告書の提出期限は、「補助事業終了後、その日から起算して〇日を経過した日」、または、「最終提出期限日のいずれかに設定されていることが多いです。補助金によって差はありますが、実績報告から確定検査が完了するまでの期間はおおそよ1~2ヶ月程度です。

しかし、実績報告の内容に不備・不足がある場合は、補助金事務局から事業者に差し戻され、修正・追加の対応をした上で、申請をやり直さなければなりません。そのため、差し戻しの回数が多いと確定検査が一向に進まず、補助金額の確定や補助金の入金時期がどんどん遅くなっていきます。補助事業で支出した金額と自社の資金調達の状況によっては、経営が苦しくなる可能性もあるので、できるだけ早く確定検査が完了するよう、正確・迅速な対応を心がけましょう。

実績報告での補助額減額リスク

不正受給問題が多発していることもあって、補助金の審査は年々厳格化。その影響もあり、実績報告で提出した書類の不備・不足が解消されない場合、採択された事業計画書の内容と実施した取組の内容に違いがある場合など、それが事業者にとってほんの些細なことであっても、該当する経費への補助が認められず、補助額が減額されてしまうケースがあります。実績報告という最終段階でもこのような減額リスクがあることを心に留め、事業実施段階から慎重な対応を徹底しましょう。

以上、補助金の実績報告について解説しました。「事業が完了したらゴールは目前」というわけではなく、「事業完了後にもうひと山待っている」ということをお分かりいただけたのではないでしょうか。実績報告の遅延や不備は、補助金入金時期の遅れや補助額減額などのトラブルにつながりますので、事業実施期間中から実績報告を頭に入れて、取組を進めるようにしましょう。BIZ JAPANでは、実績報告のサポートも行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。