補助金の交付申請とは?

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この記事の目次

交付申請とは

まず、補助金の種類によって、交付申請という手続きの定義・内容が異なりますので、その点をクリアにしましょう。国が管轄する代表的な補助金を例に説明します。

補助金の種類 交付申請の定義
IT 導入補助金 事業計画を策定し、申請書類を揃えて、補助金事務局に提出する手続きを指す。審査を通過して採択されれば、交付決定となり、交付予定額が決定する。
ものづくり補助金 事業再構築補助金 事業計画を策定し、申請書類を揃えて、補助金事務局に提出。審査を通過して採択された事業者が、交付予定金額を確定させるために行う手続き。この手続きが完了しなければ、交付予定額は決定しない。

つまり、IT導入補助金では、「交付申請→審査→採択=交付決定(交付予定額確定)」という流れになりますが、ものづくり補助金や事業再構築補助金では、「応募申請→審査→採択→交付申請→審査→交付決定(交付予定額)確定」となり、同じ交付申請でもまったく意味合いが異なっています。本記事では、後者(ものづくり補助金や事業再構築補助金)における交付申請について解説していきますので、その点をあらかじめご承知おきください。

交付申請の手続きと審査

交付申請とは、「審査を通過して採択された事業者が、交付予定金額を確定させるために行う手続き」と前述しましたが、具体的にどのような手続きを行うのが気になるところですね。手続きの内容としては、事業計画書に記載された補助対象経費について、金額の妥当性を証明する書類を提出し、補助金事務局の審査を受けるという手続きになります。

金額の妥当性を証明する書類とは、見積書と相見積書、購入したい製品や利用したいサービスの価格や価格体系が記載されたパンフレット、カタログなどです。補助金事務局はこれらの書類を確認して、「申請された補助対象経費の金額が相場を大幅に上回っていないか」「補助対象にならない経費が含まれていないか」などの点を細かく審査するわけです。

交付申請時の提出書類

前項でも簡単にふれましたが、交付申請時の提出を求められる主な書類を紹介します。いずれの書類も、不備や不足があれば事業者に差し戻され、訂正・追加の上、改めて交付申請をやり直すことになります。

見積依頼書 見積りを依頼する際、業者に送付する依頼書です。見積依頼書の内容に合わせて、業者に見積書を作成してもらいます。
見積書・相見積書 補助対象経費として支出する経費は、最初に必ず業者から見積書を取ります。また、「単価50万円以上の場合」など、一定の金額を上回る場合は、追加で1者(または2者)から相見積書を取ることも求められます。その際、各見積書に記載された製品・サービスの名称、内訳、単価、数量などは、すべての見積書で一致させなければなりません。また、見積依頼書とも内容を一致させる必要があります。
パンフレット・カタログ 補助事業で機械装置などを購入する場合は、その機械の特長・性能、そして、価格が記載されたパンフレットやカタログなどの提出を求められます。最近はインターネット上にパンフレットやカタログのPDFファイルが公開されているケースも多く、そこからダウンロードできます。インターネットで入手できない場合は、業者依頼しなければなりません。
工事図面・配置図 補助事業で店舗や工場などの内装工事を行う場合は、工事図面と配置図の提出を求められます。配置図とは、建物の配置や敷地との位置関係を示した図面であり、通常、工事業者に依頼すれば作成してもらえます。

交付申請の期限と所要期間

ものづくり補助金や事業再構築補助金では、交付申請に要する期間をおおよそ1~2ヶ月程度としています。しかし、それ以上に時間がかかることも少なくありません。前述の通り、提出した書類に不備や不足があった場合、事業者に差し戻され、訂正・追加の対応を行った上で、改めて交付申請を行うことになります。そのため、差し戻しが何度も繰り返されると、その分、審査が滞り、交付決定まで想定以上の時間がかかってしまうわけです。

また、交付申請手続きの混雑状況によっても、所要期間は変わってきます。事業再構築補助金の交付申請で実際に起こったことですが、第1回~第3回で採択された事業者がなかなか交付申請を行わず、そのまま第4回、第5回、第6回と公募が続いていった結果、第6回の交付申請のタイミングに、締切が目前に迫った第1回~第3回の交付申請が集中してしまい、補助金事務局がパンクするということがありました。その結果、交付申請に半年以上かかるケースが続出したのです。

交付申請での補助額減額リスク

交付申請で提出した書類の不備・不足が解消されない場合、該当する経費が補助対象として認められず、交付予定額が減額されるケースもあります。また、採択された事業計画書の内容と実施する取組の内容に差異が生じている場合、それがごくわずかな差異であっても、減額される可能性があります。不正受給問題が頻発していることもあり、補助金の審査は年々厳格さを増している状況です。こういったリスクがあることも十分考慮した上で、交付申請手続きを行うようにしましょう。

<br> 以上、補助金の交付申請について解説しました。「採択されたらひと安心」というわけではなく、「採択されてからが本番」ということをお分かりいただけたのではないでしょうか。交付申請の遅延や不備は、スケジュールの停滞や補助額減額などのトラブルのもとになりますので、採択後は早め早めに対応することを心がけてください。BIZ JAPANでは、交付申請のサポートも行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。