補助率・補助額とは?

令和5年度補正予算案 環境省が描く脱炭素社会への道筋
この記事の目次

補助率とは

支出した補助対象経費の何割が補助されるか

補助金を活用する事業のことを「補助事業」、補助事業で必要になる経費のうち、補助対象となるものを「補助対象経費」と呼びます。補助率とは、「補助対象経費のうち、何割が補助されます」という割合を示す数値であり、税抜き金額にかかる場合もあれば、税込み金額にかかる場合もあります。一般的に「1/3」「1/2」「2/3」「3/4」と分数で表記されることが多く、補助率が「1/2」であれば「50%」、つまり、補助対象経費の半分が補助されるということになります。

「 4/5 」「 10/10 」など高い補助率の補助金もある

補助率は、管轄する国や自治体の政策目標に近いほど割合が高くなっていく傾向があり、補助金によっては、「4/5」や「10/10」という高い補助率になるケースもあります。補助率が「10/10」ということは、補助対象経費の全額が補助されるということ。補助率が税込みの金額にかかる場合は「自己負担0円」、税抜きの金額にかかる場合は「消費税のみ負担」ということになりますので、事業者にとっては非常に手厚く、有り難い支援だと言えるでしょう。

補助額とは

支出した補助対象経費のうち、補助される金額の上限額

補助額とは、補助対象経費のうち、補助される金額の「上限額」を指します。補助金によって、「補助上限額」「助成限度額」などと明確に記載されている場合もあれば、「補助額」「助成額」としか記載されていない場合もあります。しかし、いずれのケースも「上限額」であると認識するようにしましょう。

どれだけ支出がかさんでも、補助額以上は補助されない

例えば、「補助率1/2、補助額100万円」という補助金があったとしましょう。この場合、事業者が200万円の補助対象経費を支出すれば、「200万円×1/2(50%=100万円)となり、100万円の補助が受けられるということになります。

では、300万円の補助対象経費経費を支出した場合はどうでしょうか。補助率が1/2であるため、「150万円補助される」と考えてしまいそうですが、補助額(=補助上限額)が100万円であるため、100万円を超えて補助されることはありません。つまり、支出額が500万円になろうが、1,000万円になろうが、100万円以上は補助されないということです。補助金申請を検討する際は、補助率だけでなく、補助額もしっかり確認しましょう。

補助額のシミュレーション

小規模事業者持続化補助金でのシミュ―レーション

1人で飲食店を営む個人事業主が小規模事業者持続化補助金の「通常枠」に申請。90万円の補助対象経費を支出すると想定して、最終的に支給される補助金の額をシミュレーションしてみましょう。

事業形態:個人事業主

業種:飲食業

資本金:個人事業主のためなし

従業員数:0人

支出する補助対象経費:90万円

補助率:2/3

補助上限額:50万円

補助額の計算:120万円×2/3=60万円

最終的に支給される補助額:50万円

このケースでは、支出額90万円に対し、補助率が2/3であるため、単純に計算すれば、「90万円×2/3=60万円」になります。しかし、補助上限額が50万円と定められているため、50万円までしか補助されないということになります。

IT 導入補助金でのシミュレーション

資本金1,000万円、従業員数10人の製造業の会社が、セキュリティソフトウェア導入のため、IT導入補助金の「セキュリティ対策推進枠」に申請。150万円の補助対象経費を支出すると想定して、最終的に支給される補助金の額をシミュレーションしてみましょう。

事業形態:法人

業種:製造業

資本金:1,000万円

従業員数:10人

支出する補助対象経費:150万円

補助率:1/2

補助上限額:5万円~100万円

補助額の計算:150万円×1/2=75万円

最終的に支給される補助額:75万円

このケースでは、補助上限額は100万円ですが、100万円支給されるわけではありません。実際に支出額は150万円であり、その1/2が補助されるので、最終的に支給される補助額は75万円となるわけです。

補助額の減額リスク

補助金に申請して採択されたとしても、その時点で最終的に支給される補助額が確約されるわけではありません。多くの補助金では、採択されてから事業を実施することになりますが、事業を行う過程でのミスや不手際によって、補助額が減額されてしまうというケースも決して少なくありません。ミスや不手際の例として特に多いのは、「採択された事業計画とは異なる取組をする」「経理書類やビフォーアフターの画像を用意できない」の2つです。

採択された事業計画とは異なる取組をする

採択された事業計画書に記載がない取組を行って、追加の支出が発生した場合、補助事業に関連するものであっても、補助対象として認められません。「これくらいなら大丈夫だろう」と取組を追加したことで、事業計画内の取組と計画外の取組が混同されてしまい、明確な線引きが難しくなり、すべてが補助対象外となってしまったというケースもあります。「事業計画変更届」などを提出し、審査を受けられる補助金もありますが、それとて100%審査を通るわけではないため、やはり、採択された事業計画に忠実に事業を実施することが大切です。

経理書類やビフォーアフターの画像を用意できない

事業計画書に記載した取組を実施し、必要な支出を済ませ、事業がすべて完了したら、その証拠を補助金事務局に提出する実績報告という手続きが発生します。実績報告で提出する書類は多岐に渡りますが、特に重要なのは経理書類とビフォーアフター画像です。見積書、納品書、請求書など所定の経理書類が1つ欠けただけでも補助金は支給されません。また、店舗改装工事などを行った場合、改装前の画像と改装後の画像を提出することになります。改装後の画像はどうとでもなりますが、改装前の画像は工事前に撮影し忘れたらアウトです。店舗改装工事の補助額が丸々減額されてしまうことになります。十分に注意しましょう。

以上、補助金申請の補助率・補助額について解説しました。補助率と補助額の仕組みを理解できれば、補助金を利用する際、「どれくらいの投資で、いくらの補助を受けられそうか」がパッと計算できるようになります。ただし、補助金によっては、補助率・補助額が細かく、複雑に設定されているものもありますので、公募要領を読んでもよくわからないというときは、ぜひBIZ JAPANにご相談ください。補助額のシミュレーションを素早く、わかりやすくお伝えします。